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Sidekick Lab
by Ichiro Murata

「4×5フィルムは何万画素?」に、一つの答えがない理由

「4×5フィルムは何万画素相当?」に一つの答えはない。同じベルビアの資料でも測定条件で解像力は80と160に分かれ、換算した升目の数は4倍違う。条件を決めれば比べられるが、一つの数字にはならない。1990年に4×5を買い、ベルビアを使っていた私が、その数字の意味を調べ直します。

村田一朗|写真家・SideKick開発者

――計算そのものはできる。問題は、その数字が何を意味するかだ。

1990年、私は4×5のカメラを買いました。大判、と呼ばれるフィルムカメラです。といっても、4×5のシートフィルムをそのまま使うことは少なく、ロールフィルムのホルダーを付けて、612や69、67で撮ることがほとんどでした。フィルムはベルビアです。

こういう話には、決まって一つの疑問がついてきます。

「4×5って、デジタルで言えば何万画素くらいなの?」

自然な疑問だと思います。そして、式を探せば数字は出てきます。フィルムの解像力の数字と、フィルムの寸法を式に入れれば、画素数らしい数字は、確かに出てくるのです。

計算そのものは、できる。問題は、その数字が何を意味するかです。

この記事は、そこを調べた記録です。先に書いておくと、「デジタルに換算するのは間違いだ」という話にはなりません。「本当の答えは何万画素だ」という話にもなりません。調べて分かったのは、少し別のことでした。

計算はできる。では、その数字は何を数えているのか

デジタルカメラの「2400万画素」は、センサーの上に約2400万個の画素が格子状に並んでいる、という数です。ここでは、その一つ一つを「升目」と考えてみます。升目の数であって、写真にどれだけ細部が写ったかの数ではありません。同じ2400万画素のカメラでも、レンズが甘ければ、ピントが外れれば、ブレれば、写る細部は減ります。升目の数は変わりません。デジタルカメラの解像力の測り方を定めた規格でも、升目の数と「どこまで細かく写ったか」は、別のものとして扱われています。

一方、フィルムの「解像力」は、別の測り方の数字です。細い白黒の縞を撮って、どこまで細かい縞を見分けられたか。その限界を「1ミリあたり何本」と数えます。これは升目の数ではなく、「限界」の数字です。しかも、縞の白と黒の差——コントラスト——をどれくらいにして測ったかで、限界の位置は動きます。

升目の数と、条件つきの限界。この二つを「=」で結ぶには、いくつも仮定を置く必要があります。フィルムを画素数に換算する式は、その仮定の上に立っています。式に入れれば数字は出る。ただし出てきた数字は、「何を仮定したか」の数字であって、「どれだけ写っているか」の数字ではないのです。

ここで一度、答えを出します

4×5フィルムを「何万画素相当」と一つの数字で表すことは、できません。

理由は、比べられないからではありません。何を基準に比べるかで、答えが変わってしまうからです。

画素数は升目の数、フィルムの解像力は条件つきの限界。種類が違います。そして次に見るように、同じフィルムの、同じメーカーの資料の中でさえ、条件が変わると解像力の数字は2倍動きます。升目の数に直せば4倍です。

だから、「4×5は何万画素」という一つの数字は、少なくとも私が調べた範囲の資料からは、出てきません。

ただし、「比べられないから、何も言えない」でもありません。何のために、どこまでの細部を守りたいのかを決めれば、「それには、これだけの細かさで取り込む必要がある」という、条件つきの範囲は言えます。この記事の後半は、そこまでを扱います。

同じフィルムなのに、80と160

富士フイルムのベルビアの技術資料には、解像力として二つの数字が載っています。コントラスト1.6:1のときに80 lines/mm、1000:1のときに160 lines/mm。

同じフィルムです。同じ資料です。資料の上で違うのは、測るときの縞の白黒の差だけ。差が小さい縞(1.6:1)では80、差の大きい縞(1000:1)では160。

どちらが「本当の解像力」なのかと聞かれたら、どちらも、それぞれの測定条件で資料に記載された解像力です。条件が違うだけです。この二つの数字を見て、「ベルビアの性能が2倍になった」と読む人はいないと思います。性能が変わったのではなく、測り方が変わったのです。

ところが、この数字を画素数の式に入れると、話が変わります。1ミリあたりの本数が2倍なら、縦にも横にも2倍の升目が要るので、升目の数では4倍です。同じフィルムなのに、どちらの数字を採用するかで、出てくる「画素数らしい数字」が4倍違ってしまう。もちろん、画質が4倍違うわけではありません。

念のため書いておくと、この資料の「lines/mm」が、縞の線1本ずつを数えているのか、白と黒の1組を数えているのかは、資料だけからは確定できませんでした。ここでは資料の表記のまま書いています。どちらに読むかでも、式から出てくる数字は変わります。

つまり、式に入れる前の段階で、入れる数字が一つに決まらない。これが、一つの答えが出ない理由の一つ目です。

解像力は、どこで測るかで変わる

二つ目の理由は、フィルムの資料に載っている解像力が、写真ができるまでの長い道筋のうち、一段だけの数字だということです。

概念図。写真ができるまでの鎖:被写体、レンズ、ピントとフィルムの平面、乳剤(粒子)、現像と進み、乳剤と現像の段に「フィルム資料の解像力はこの段で測られた値」の枠。そこから分岐してルーペで見る・引き伸ばす・スキャンする、さらに出力(ポジ直視・プリント・雑誌・画面)と見るへ。注:格子ではない/ppi はここで決まる升目の数/升目の数は写っている細部ではない/用途によって守りたいものが変わる。本サイトの調査で置いた整理。

図1:フィルムの解像力は、この鎖のどこで測るかで変わる。資料の数字は乳剤と現像の段の値で、レンズ・ピント・フィルムの平面・スキャン・出力を含まない。

被写体の光は、レンズを通り、ピントが合わされ、ホルダーの中でフィルムが平らに保たれているかどうかに左右され、乳剤に届き、現像で像になります。資料に載っている解像力は、この「乳剤と現像」の段で、決められた条件で測った値です。レンズのぼけも、ピントのずれも、フィルムの反りも、そこには入っていません。

そして現像が終わったあとも、道は一本ではありません。ポジをライトボックスに置いてルーペで見る。引き伸ばし機でプリントする。スキャナで読み取る。どの道を通るかで、その先で「どこまで細部が残るか」は別々に決まります。

乳剤のことも、一つ書いておきます。フィルムの粒子(カラーフィルムでは色素の雲)は、センサーの升目のように格子に並んでいません。位置も並び方も規則的ではありません。「粒子1個が画素1個」という対応はなく、フィルムの粒状性を表す数字も、濃度のゆらぎを測ったものであって、画素数やデジタルのノイズとは別の量です。

つまり、「フィルムの解像力」と一口に言っても、資料の値なのか、レンズを通した値なのか、スキャンしたあとの値なのか、プリントの上での値なのかで、指しているものが違います。どこで測るかを決めないと、数字は一つになりません。

スキャンすれば、数字は出る

「それなら、スキャンすればいい。スキャンしたデータには画素数があるのだから、それがフィルムの画素数だ」と考えたくなります。

確かに、スキャンすれば「何万画素のファイル」は必ずできます。ただ、スキャナの解像度——ppi——は、フィルムを1インチあたり何列に区切って読んだか、という数です。細かく区切れば区切っただけファイルは大きくなります。しかし、フィルムに写っていなかった細部が増えるわけではありません。写っていないものは、いくら細かく区切っても、写っていないままです。

スキャナ自身にもレンズがあり、読み取りの開口があり、ノイズがあります。「高い解像度でスキャンしたデータ」は、そのスキャナが、その設定で読み取った結果です。フィルムそのものの数字ではないのです。

同じ4×5でも、守りたいものが違う

三つ目の理由は、同じ一枚のポジでも、何のために使うかで「守りたい細部」が違うことです。

1990年代、プロが撮った4×5のポジには、いくつもの行き先がありました。ライトボックスの上でルーペで見て、良し悪しを判断する。雑誌や印刷物の製版へ渡す。大きく引き伸ばしてプリントする。同じ一枚が、見る対象にも、製版の中間物にも、プリントの原版にもなりました。それぞれの経路がどれくらいの割合だったのかは、今回調べた資料からは分かりません。

私の場合は、こうでした。撮ったポジの合否は、ライトボックスと3.5倍のルーペで決めていました。プリントは全紙から大全紙、最大で1×2mまで。雑誌に載ることもありました。

ルーペで見るときに守りたいのは、原版の局所の細部と質感です。雑誌なら、誌面の網点と紙の上でどう見えるか。1×2mなら、壁に掛けて見たときの見え方。同じポジなのに、守りたいものが違う。

守りたいものが違えば、「どれだけ細かく取り込めば足りるか」も違ってきます。

概念図。同じ1枚の4×5ポジから、ライトボックス+ルーペ、雑誌・印刷、大きなプリント、保存用スキャンの四つの用途へ同じ太さの矢印。各カードに守りたいもの(局所の細部・質感/誌面での見え/壁で見たときの見え/将来の再利用)と「必要な細かさ:条件で決まる、固定ではない」。量の大小は描いていない。四つは用途の例で、順序・優劣・当時の割合ではない。

図2:同じ4×5のポジでも、ライトボックス+ルーペ、雑誌・印刷、大きなプリント、保存用スキャンでは、守りたいものが違う。必要な取り込みの細かさも、用途や条件によって変わる。どれが上という順序ではない。

同じ細部が「見える」かどうかは、どの大きさに出して、どこから、どれくらいのぼけまで許して見るかで変わります。その条件の話は、許容錯乱円の記事で書きました。この記事で見ているのは、その条件を決めたとしても、なぜ「一つの数字」にはならないのか、という側です。

では、比較は無意味なのか

ここまで読むと、「結局、フィルムとデジタルは比べられない」という話に見えるかもしれません。

そうではありません。

条件を決めれば、言えることはあります。何のために使うのか、どの大きさに出すのか、どこから見るのか、どこまでの細部を守りたいのか。それを決めれば、「この用途で、この細部を守るには、これだけの細かさで取り込む必要がある」という範囲は出せます。答えは一つの数字ではなく、条件ごとの範囲になります。これは、本サイトの一連の調査で置いている見方であって、当時の写真家がそう考えていたという話ではありません。

4×5が有利になり得る理由も、この見方だと具体的に言えます。同じ大きさのプリントにするとき、4×5は35mmフィルムの約1/3の拡大率で済みます。拡大率が低ければ、フィルム面の粒やぼけは目立ちにくくなり得ます。ただし、これは「だから4×5は高画質」という話ではありません。拡大率は道筋の一段にすぎず、レンズやピント、フィルムの平らさ、現像、出力の条件が揃わなければ、結果は変わります。

では、「4×5と高画素デジタル、どちらが上か」という勝敗表は作れるのか。同じ被写体を、同じ出力に、同じ見方で揃えた比較がない限り、作れません。調べれば決まる話ではなく、揃えないと比べる対象そのものが定まらない、という話です。

だから、問いを置き換えます。

「4×5は何万画素か」ではなく、「何を守りたいのか。そのために、どれだけの細かさで取り込む必要があるのか」。

こう問い直すと、答えは出ます。条件つきで。

次に「何万画素相当」を見たとき

1×2mに伸ばした自分のプリントを見て、「甘い」と思ったことがあります。近寄ると一発で分かる。ピントの問題ではなかったと思っています。では、道筋のどこで失われたのか。いまも分かりません。資料に載っていた解像力の数字には、その先の道筋は何も入っていませんでした。

次に「○○は何万画素相当」という数字を見たら、こう問えばよいと思います。どのコントラストで測った解像力か。レンズ込みか。スキャン込みか。出力は何か。どこから見る前提か。数字が悪いのではありません。条件が省かれているだけです。

分かっていないことも、二つ書いておきます。一つは、フィルム資料の「lines/mm」が線1本を数えているのか1組を数えているのか。もう一つは、当時、用途ごとにどこまでの細部が求められていたのか、その実態の分布。どちらも今回調べた範囲では分かりませんでした。

そして、これはフィルムだけの話ではありません。「高画質」を一つの数字で言おうとするたびに、同じことが起きます。たとえば、当時よく使われた「階調が豊か」という言葉が何を指していたのか。それも、同じ問いです。

ここから先は、もう少し詳しく知りたい人へ

この記事で必要な結論は、ここまでで完結しています。ここから先は、本文で式や定義を省いたところを、もう少し細かく見たい人への補足です。新しい主張はありません。別の「正しい画素数」が出てくるわけでもありません。

「lines/mm」と「lp/mm」

デジタルカメラの解像力の規格(ISO 12233)では、1 lp/mm(line pair)=1 cycle/mm=2 lines/mm と定義されています。白黒の1組を1として数えるのが lp/mm、線1本ずつを数えるのが lines/mm です。本文で書いたとおり、富士フイルムの資料の「lines/mm」がこの定義のどちらに対応するかは、今回参照した資料からは確定できませんでした。80と160を「線対」と読み替えていないのは、そのためです。

換算式が仮定していること

フィルムを画素数に換算する式は、次のような形をしています。1ミリあたりの周期数を f、フィルムの寸法を W×H ミリとして、各方向に1周期あたり2升目を割り当てると、升目の数は 4 × f² × W × H になります。

この式が暗黙に仮定しているのは、少なくとも次のことです。f が線対(周期)の数であること。フィルムの全面で同じ細かさが写っていること。白黒の理想的な格子で受けること。レンズ・ピント・フィルムの平面・現像・スキャン・出力の各段の影響が分かっていること。ノイズが十分に少ないこと。縞の位置と升目の位置のずれを無視できること。そして、フィルム側とデジタル側で「見分けられた」の基準が同じであること。

一つの例として、本文の80と160を仮に周期数として読み、35mmフィルムの36×24mmが全面一様だと仮定して式に入れると、およそ2210万と8850万という升目の数が出ます。同じフィルムで、基準が違うだけで4倍。これは「同じ資料の数字でも換算結果がこれだけ動く」ことを示すための計算例であって、ベルビアの画素数でも、35mmフィルムの実効画素数でもありません。仮定を一つ変えれば別の数字になります。4×5については、この計算を行っていません。上の仮定が4×5で満たされると言える根拠がなく、フィルムの実効寸法もホルダーによって違うため、数字を出せば「4×5の画素数」として独り歩きするだけだからです。

この式が捨てているものも書いておきます。解像力の曲線の形、コントラストや露光・現像による変化、粒状性やノイズの統計、カラーフィルムの層構造とデジタルの色フィルターの違い、レンズとカメラの影響、スキャン・引き伸ばし・出力・鑑賞の条件、位置ずれ、そして不確かさ。レンズの解像力そのものも絞りや画面の位置で変わることは、F8の記事で扱いました。

升目の半分の周波数

升目の間隔 p に対して、1/(2p) をナイキスト周波数と呼びます。これは「この細かさまでの模様なら、理想的な条件で復元できる」という境界の値で、「この細かさまで写る」という保証ではありません。1周期をちょうど2升目で受けても、縞と升目の位置関係によっては模様のコントラストが失われることがあります。升目の数から解像力を言えない理由の一つです。

色フィルターと1画素

ベイヤー配列と呼ばれる方式のデジタルカメラでは、1画素は赤・緑・青のどれか1色だけを受けています。同じ場所の3色を同時に測っているわけではなく、足りない色は周囲から推定して補います。この補い方や、光学ローパスフィルター、シャープネス処理によって、同じ画素数でも細部の出方や偽色の出方は変わります。「画素数」と「受光素子の数」と「出力ファイルの画素数」を分けて考える必要があるのは、このためです。

フィルムは「ぼかすだけ」ではない

コダックの資料には、現像時の隣接効果によって、フィルムの周波数応答が条件によっては100%を超え得ることが書かれています。フィルムは常に細部をぼかす受動的な層ではなく、条件によっては局所のコントラストを強める側にも働きます。フィルムを「一定のぼけをかけるフィルター」として式に入れることが単純化である理由の一つです。

粒状性の数字

フィルムの粒状性は、48µmの開口で、濃度1.0の部分の濃度のゆらぎを測り、標準偏差を1000倍した「RMS粒状度」で示されるのが慣例です。粒子の大きさそのものではなく、デジタルのノイズとも測り方が違います。

富士フイルムの資料では、ベルビア50のRMS粒状度は9、ベルビア100は8です。感度の低いほうが粒状性の数字が良い、という単純な対応にはなっていません。これは、解像力の数字と粒状性の数字が一つの軸の上に並んでいるわけではない、ということを示す一例です。

スキャナの数字

スキャンしたファイルの画素数は、スキャンの解像度(1インチあたりの列数)とフィルムの寸法から決まる、ファイルの大きさの数字です。フィルムスキャナの実際の解像力は、設定上のppiではなく、装置全体として測ることになっています(ISO 16067-2)。スキャナにはレンズや読み取りの開口、ノイズがあり、それらを含めた結果が実際の解像力です。

保存用のデジタル化のガイドライン(FADGI)が、35mm〜4×5未満のフィルムには約1000〜4000 ppi、4×5以上には約500〜2000 ppi と、フォーマットによって違う値を置いているのも参考になります。これは「フィルムに内在する画素数」ではなく、保存の目的とコストから決めた運用の値です。フォーマットによって値が違うこと自体が、この ppi がフィルム固有の数字ではないことを示しています。

拡大率の数字

本文の「約1/3」は、幅297mmに伸ばすときの拡大率が、35mmフィルム(幅36mm)で約8倍、4×5(実効幅を約120mmとして)で約2.5倍、という幾何の話です。フィルム面の同じ大きさの粒やぼけは、拡大率が低いほど最終出力で小さくなります。ただし本文でも書いたとおり、これは道筋の一段であって、レンズ・ピント・平面・現像・出力を含めた結果ではありません。

比べられるもの、比べられないもの

フィルムとデジタルの数字を並べるとき、そのまま比べられるものと、橋渡しが要るもの、比べること自体が意味を持たないものがあります。

比べようとするもの 判定 理由
フィルムの限界解像力 と センサーのナイキスト周波数 そのまま比べられない 一方は条件つきの識別限界、他方は升目から決まる境界値
フィルムの粒状性 と デジタルのノイズ 橋渡しが要る 測定窓・濃度・統計の取り方が違う。最終出力の上で見比べる条件が必要
スキャナの ppi と フィルムの細部 そのままでは意味がない 一方は区切りの数、他方は写っている量
カラーフィルムの層 と 色フィルター付き画素の数 一対一ではない 色の記録のしかたが違う
同じ出力・同じ見方に揃えたときの見え 条件つきで比べられる 用途・出力・鑑賞条件・基準を固定したときだけ

表1:フィルムとデジタルの数字の比べ方。「条件つきで比べられる」のは最後の行だけで、それ以外は種類の違う数字を並べている。

条件つきの範囲、という考え方

本文で「条件を決めれば範囲は言える」と書いた考え方を、手順として整理しておきます。

  • まず、比べる二つを同じ最終用途に揃える(ルーペで見るのか、雑誌なのか、壁のプリントなのか)。
  • 次に、フィルム側の値を「どの段で測ったものか」宣言する(資料値か、レンズ込みか、スキャン後か)。
  • 守りたい基準ごとに、必要な細かさ・コントラスト・ノイズ・色の条件を置く。
  • 「1周期に2升目」は必要条件として計算するが、それで足りるとはしない。
  • 候補となる取り込みの細かさについて、実際の装置と処理と出力で確認する。
  • 不確かさを含めて基準を満たす範囲を残す。

こうして残るのは一つの数字ではなく、基準ごとの範囲です。この整理は、本サイトの一連の調査で置いた見方であり、当時の写真家やメーカーがこの言葉で考えていたわけではありません。

「デジタルがフィルムを超えたのは何万画素から」

この問いも、同じ理由で一つの数字になりません。どの用途で、どの出力で、何を基準に「超えた」とするかを決めなければ、超えたかどうかを判定する対象が定まらないからです。初期のプロ用デジタルカメラがどう選ばれたのかは、画素数だけでは説明できない別の話になります。

4×5と高画素デジタルの大伸ばし

「4×5のフィルムと、いまの高画素デジタルカメラの一枚撮りで、大きなプリントならどちらが上か」。この比較は、同じ被写体・同じレンズ相当の条件・同じ現像やスキャン・同じ用紙と鑑賞距離で揃えた実測がない限り、判定不能です。どちらが上と決まっていないのではなく、決めるための比較そのものが揃っていない、という状態です。この記事の答えは、そこで止まります。